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茶色やピンクのブルーチーズを作る技術が開発される - GIGAZINE(ギガジン)


ブルーチーズは青カビを使ったチーズで、青カビの生育過程でその名の通り「青緑色の筋」がチーズ内部に形成されます。イギリスのノッティンガム大学の研究チームが、この青カビの色を変えることでピンク色や黄色のブルーチーズを作る研究を発表しました。

New colours for old in the blue-cheese fungus Penicillium roqueforti | npj Science of Food
https://www.nature.com/articles/s41538-023-00244-9


News - Scientists ‘break the mould’ by creating new colours of ‘blue cheese’ - University of Nottingham
https://www.nottingham.ac.uk/news/new-colours-of-blue-cheese

Blue cheese could get an upgrade thanks to new mould hybrids | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2420477-blue-cheese-could-get-an-upgrade-thanks-to-new-mould-hybrids/

ブルーチーズは「Penicillium roqueforti」と呼ばれる青カビを利用して作るチーズで、特にフランス最古のチーズと呼ばれる「ロックフォール」が有名です。

チーズの熟成過程で増殖したPenicillium roquefortiは、タンパク質や脂肪を分解する酵素を産生し、独特の風味を形成します。また、Penicillium roquefortiによってチーズがやわらかくなってクリーミーな食感が生まれると同時に、Penicillium roquefortiが二次発酵を進めることでチーズの熟成がさらに進みます。そして、このPenicillium roquefortiが増殖する過程で、チーズの内部に青緑色の筋が形成され、「ブルーチーズ」という名前の由来になる外見を作り出します。

by Artizone

2014年、Penicillium roquefortiのゲノム情報が公開されたことをきっかけに、Penicillium roquefortiの研究が進みました。ノッティンガム大学の研究チームは、Penicillium roquefortiの胞子のコーティングに含まれる色素を形成する遺伝子を改変することで、色素形成の遺伝的基盤を解明することを目指しました。

その結果、Penicillium roquefortiの色素は徐々に形成され、最初は白色だったのが黄緑色、赤茶色、ピンク、暗褐色、水色と変遷し、最終的に濃い青緑色になることが判明。そこで、この色素を形成する遺伝子を欠失させることで、ブルーチーズの香りの元となる揮発性物質や二次代謝産物の生成に悪影響を与えることなく、Penicillium roquefortiの胞子の色を変えることに成功しました。


しかし、食品業界の規制により、遺伝子欠失菌株は商業的な使用が禁止されています。そこで研究チームは、UV変異誘発により非遺伝子組み換え菌株を作成しました。

UV変異誘発とは、生物の遺伝子を直接操作するのではなく、紫外線(UV)を利用して生物の遺伝子に変異を引き起こす方法です。Penicillium roquefortiに紫外線を当てることで、DNAに損傷を起こし、そのDNAが損傷を修復する過程でDNA塩基配列に変異を生じさせ、変異した株の中から色が変化した個体を選抜します。研究チームは、このUV変異誘発を利用することで色素形成の遺伝子を欠失した株を作り出し、青緑色ではないブルーチーズを作ることに成功しました。


そして、実際に変異株で作ったブルーチーズを試食したところ、風味の強さや味の特徴が異なると感じられることがわかりました。調査の結果、変異株は揮発性物質を問題なく生成できており、チーズに含まれている成分にも大きな違いはなかったことから、研究チームは「Penicillium roquefortiの変異によって味が変わったのではなく、見た目によって味が変わったのではないか」と推察しています。

研究チームのメンバーであるポール・ダイアー氏は「色の薄いチーズを試した人は、よりマイルドな味だと感じました。一方で、多くの人が色の濃いチーズはより濃厚な味だと感じました。また、赤みがかった茶色や薄い緑色のチーズを試した人は、フルーティーでピリッとした味がするという感想を述べています。これは、人は味覚だけでなく、視覚からも味を感じていることを示しています」とコメントしています。


研究チームは、地元のチーズメーカーと協力し、この変異株を使ったブルーチーズの商品化を目指しているとのことです。

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