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[道あり]博多織職人 大野浩邦さん<1>闘志みなぎる化粧まわし - 読売新聞オンライン

 大相撲の土俵入りで関取が締める化粧まわし。博多織職人の大野浩邦さん(78)は名だたる力士たちの晴れ舞台を飾る一本を仕立ててきた。自らも創作に闘志をみなぎらせ、オリジナルの表現を求めて挑戦を続けている。

 8月下旬、北九州市小倉南区の工房で、100年以上働き続ける手織り機が、規則正しい音を響かせていた。機に張られた1万5000本の 経糸たていと に、 緯糸よこいと を巻いた (シャトル)を通して打ち込んでいく。2週間かけて織った7メートルの紫の布は化粧まわしの生地となり、今月11日に初日を迎えた大相撲秋場所で観客に披露される。

 化粧まわしは主に西陣織と博多織で織られ、博多織は1960年に父の弥一郎さん(1983年に死去)が初代若乃花のために作ったものが始まりだ。近年はほとんどが機械織りだが、「しなやかで光沢があり、糸目もきりっとする」と、手織りにこだわり続けてきた。

 福岡市で明治時代から続く博多織職人の家に生まれた。全盛期には20人ほどの職人を抱える市内屈指の織元だったが、20歳代の時に4代目として家を継いでしばらくすると、和服は売れなくなった。全国のホテルや結婚式場を行脚して商品を売り歩いたものの、時代の逆風にはあらがえず、44歳の時に実家の工房をたたんだ。18台あった自動織り機は、全て処分した。

 窮地を救ったのは化粧まわしだった。帯が売れなくなる中でも、化粧まわしは注文が入った。北九州市に開いた工房で、2台だけ手元に残した手織り機を相棒に、一本一本丁寧に織り上げた。「鍛錬を積んだ肉体を武器に勝負に生きる力士の姿を思い浮かべると、俺も負けてなるものかという闘争心が湧いた」

 自分にしか作れない新しいものを――。模索する中でたどり着いたのが、「織らない」という表現方法だった。縦横無尽に糸を重ねることで、規則性のない独特の網目を作る不織布「ランダム布」。唯一無二の風合いが注目され、アーティストとしての一歩を踏み出した。

 博多織は、1241年に博多商人が宋から持ち帰った織物の技術が起源とされ、約780年の伝統を誇る。だが「伝統を受け継ぐだけではものまねで終わってしまう」。オリジナルを求めて前へ、前へ。喜寿を過ぎても、創作意欲が衰えることはない。

  プロフィル  1944年、福岡市生まれ。89年に北九州市に拠点を移して「染織工房シルクトーン」を開き、化粧まわしの制作や創作活動に打ち込む。2017年には中国・上海の日本総領事館で展示会開催。趣味は川釣り。「整備された道より、やぶの中を歩くのが好き」

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September 13, 2022 at 03:00AM
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