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「お堅い」組織が踊る動画を作る事情(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 農協や地方自治体、製薬企業など「お堅い」イメージの組織が、動画投稿サイト「ユーチューブ」に歌って踊る動画をアップし、病気の啓発や取り組みのPRを行うアプローチが増えている。従来の「まじめに話さなければいけない」といった固定概念を払拭。一緒に踊ったり、歌ったりできる動画を使って、まねしてもらうことで理解を深めてもらえる情報発信を試みている。(藤原由梨)

 ■専務も若手も

 ♪おっおっおっ大阪もん、いっぱいあるよ大阪もん

 春菊、小松菜、玉ねぎ…大阪の特産品21品が連呼される歌に合わせ、広い会議室などに集まったお堅いスーツ姿の男性と制服姿の女性がゆるやかに踊り、大阪の農業をPRする-。

 大阪府内の農協の総合的な支援を行うJA大阪中央会(大阪市中央区)が昨年12月、自主制作した動画「大阪ベジフル(野菜・果物)でDance Dance Dance(ダンス・ダンス・ダンス)」をユーチューブで公開したところ、その独特の踊りと歌が注目され、再生回数を伸ばしている。

 公開2カ月で再生回数2400回超。同会ではこれまで外部委託して田畑の美しい映像などを紹介するイメージビデオ4本を制作してきたが公開から2年以上経っても再生千回に満たないものもあり、飛躍的な再生回数増となった。

 「若者が一緒に踊ってくれそうな楽曲を意識した」という職員の丸橋清美さんが作曲したダンスミュージックを採用し、動画撮影には専務から若手まで職員約50人が参加した。ダンス経験のない中高年も多く、ぎこちない踊りだが、公開後、子供たちがこのダンスをまねして踊っている動画が寄せられたという。

 「農業には後継者不足や自給率の低迷といった暗いイメージがつきまとう。大阪の農協も元気がないとか、将来が不安という若手職員がいる中で、注目を浴びたいと思った」と総務企画部の吉田喜代美さん。その思いが届いていると手応えを感じている。

 ■海軍の街でも

 地方自治体や公共団体でも歌とダンスを広報活動に活用するケースが増えている。

 旧日本海軍の重要拠点であり、現在も海上自衛隊基地が置かれる広島県呉市。まじめな土地柄のイメージの同市が平成29年に公開したPR動画では、有名なダンスミュージックをベースに市の見どころを紹介した替え歌に合わせ市のゆるキャラ「呉氏」がキレキレのダンスを披露している。公開当初は市民から「インパクトがあってよい」「税金の無駄遣い」と賛否両論寄せられたが、再生回数61万回以上のヒットとなった。

 担当者によると市内外の学校やダンススタジオから「踊ってみた」という報告が寄せられているといい、「動画で様々な人をひきつけたかった」という狙いが当たった形だ。

 また、大阪市消防局でも動画を見た人が心肺蘇生法を歌と踊りで覚えられるようにと意図したオリジナルダンス動画を作成。同消防局企画課は「動画は、文字よりも情報をわかりやすく伝えることができる」とメリットを話す。

 インターネットの表現を研究している大手前大の谷村要准教授(情報社会学)は、お堅いイメージの組織による歌やダンスを生かした広報が増えたのは、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー(恋チュン)」を模倣した動画が出だした平成25年ごろだと指摘する。当時、佐賀や神奈川、鳥取、富山の各県の自治体職員や知事らが恋チュンを一緒に踊った動画を制作していた。「各組織はポップカルチャーの軽いノリを活用して、普段はシリアスな情報に触れない層に情報を届け、関心を持ってもらうことを意図している」と谷村教授は説明する。

 ■乾癬患者の夢かなえる

 バイオ医薬品企業「アッヴィ合同会社」(東京都)も、病気の啓発に動画配信を活用している。

 配信しているのは皮膚に発疹ができたり剥がれ落ちたりする病気「乾癬(かんせん)」の患者を応援するために作られた明るいポップス曲「晴れゆく道」のミュージックビデオ。国内では40万人以上の患者がいるとされるが、外見に大きな変化が生まれるため、悩んでひきこもりがちになる人も多い。作詞作曲した人気音楽クリエーター、ヒャダインさんは自らも患者であることから「決して一人ではない。治療法はあるから夢はあきらめないで」という思いを込め、動画に出演。動画配信については「乾癬について知らない人もふらっと見ることができるのがメリット」と考えている。

 「深刻な課題に取り組む組織が、人々に興味を持ってもらうだけでなく、それらの社会課題に参加する意識を高めてもらう情報発信方法を考えなければならない」と谷村教授。そこで、訴えたいことを直接視聴者に届けられる動画配信が有効な手段。中でも踊ったり歌ったりする題材が選ばれるのは「まねをすることを促すことで、『みなさんも参加してね』というメッセージを間接的に伝えられるから」と分析する。視聴者の参加を促す動画は、今後、組織の発信力や魅力を高めるためにも重要な役割を担うとみている。

     ◇

 動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用した啓発・PR動画の広がりには、スマートフォン(スマホ)の動画サービス利用者数が伸び続けていることも背景にある。

 調査会社、ニールセンデジタル(東京)が、昨年上半期のデジタルメディアの利用動向をまとめた調査では、月間のスマホによる動画視聴時間(18歳以上の男女)は昨年は7時間13分と平成27年からの5年間で約4倍に増加している。同社のアナリストは「通信速度の向上、通信プランや公衆無線LAN(Wi-Fi(ワイファイ))整備による視聴環境の改善がある」とする。

 また、50~60代のインターネット利用の際のスマホ利用率も伸び、昨年は27年にトップだったパソコンを逆転。若者に限らず、幅広い世代で動画に触れる機会が増えていることがうかがえ、自治体などが情報発信しようとするさいに動画を活用するケースが目立つ理由とも関係しているといえそうだ。

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February 26, 2020 at 05:09PM
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