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「ハリス氏のスーツ」を作る日本人 鬼才・大丸隆平 - テレビ朝日

アメリカで、黒人女性初の副大統領となることが確実なカマラ・ハリス氏。
実は、彼女の衣装を手掛けるのは“ある日本人”です。

▽その人物はニューヨークに
コロナ禍にもかかわらず賑わいを見せるニューヨーク・チャイナタウン。彼のアトリエを訪れ“作品”を見た人は口々に、こう言います。

「とても美しい」

大丸隆平(おおまる・りゅうへい)、43歳。多くのセレブたちを虜にする、日本人デザイナーです。大丸氏を一躍有名にしたのは、7年前のアメリカ大統領就任式。ミシェル・オバマ大統領夫人(当時)が大丸氏の手掛けた衣装を着用したのです。アメリカの高級ブランドと共にデザインを考え、大丸氏が型紙を起こして作り上げました。
大丸:「これはプロトタイプですけどね。これメンズのシルク生地なんです。ネクタイとかに使うシルク生地を女性らしく、かつそれほど可愛らし過ぎず作っています。『オバマ大統領を支える女性』としてのドレスという感じで」

そんな大丸氏がいま手がけているのが、カマラ・ハリス氏のスーツです。

▽意識したのは「戦い抜く強い女性」
大丸:「黒人の女性はヒップの張りが強いとか、あとはやっぱり肩回りの厚みが。フィット(着心地)を考えていきました。女性初の副大統領になる方であることは絶対に意識しなきゃいけないと思ったので、社会に出て自立した女性向けのお洋服」
大丸:「男性に勝るとか勝らないとか、そういうことではないと思っているので。女性のしなやかさとか体の美しさとかちゃんと表現できるように、きれいに見えるようにラインどりをしています。僕もこの国においてはマイノリティなので、(携われて)本当に嬉しいことだなと」

ほかにも、トップアーティストや女優らの衣装も手掛ける大丸氏。その強みは「計算された美しいシルエット」と、「圧倒的な着心地の良さ」です。至る所にその仕掛けが施されています。
大丸:「ここにプリーツ(切れ目)が入っていて、肩幅が大きい人が着ればくるくると回ってくれて、こういう風に止まってくれる。肩の傾斜で止まってくれるのは着心地が良いですし、すごく軽く感じるのが特徴です」

人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」創業者の1人、栗野宏文氏も大丸氏を高く評価します。
栗野:「人の体になじませるのって、難しいのですね。ちょっとした曲線とか、縫う時の1CMの長さに入っているステッチの数も着心地に影響してくる。これは体感した人にしかわからないから、体感した人は”リピートしたくなる”服」

▽MADE BY JAPAN
大丸氏を支えるスタッフはすべて日本人です。つまり「日本製」の服がいま、アメリカのファションシーンを席巻しているのです。
大丸:「日本人の“期待に応えよう、いただけた仕事は大事にしよう”というクラフトマンシップみたいなものは絶対に大事にして、それを武器にしていきたい。ジャパン製の精神で作っているので、『MADE BY JAPAN』とあえて言ってやっている」

▽高校中退、露天商、独学
福岡市で生まれた大丸氏。高校は1年で中退し、その後は露天商として「たこ焼き」を作っていました。しかし『服を生業にしたい』と一念発起し、独学で服作りを始めたといいます。日本の有名デザイナーの元で腕を磨いた後に渡米(2006年)、2015年に自身のブランド「OVERCOAT」を立ち上げました。彼の作る服は瞬く間にクチコミで広がり、業界で一目置かれる存在になっていったのです。
しかし、順風満帆だった大丸氏にも新型コロナウイルスの影響が襲いかかります。ニューヨークはロックダウン、経済活動は厳しく制限されました。
大丸:「従業員の給料だけは変えられないと思ったので。売り上げは3カ月ゼロなので、僕も自分の貯金を使い果たして給料を払った」

窮地に立った大丸氏に手を差し伸べてくれたのは、「日本の職人」たちだったといいます。
大丸:「日本の生地屋さんとか工場が心配してくれて、『安くしてくれる』とか、縫製にしてもあり得ないようなスピードでやってくれたので、むちゃくちゃ助かりました」

そしていま、大丸氏の姿は日本に。期間限定ショップ(『OVERCOAT』ポップアップストア)出店のために一時帰国しているのです。今回の出店には、大きな意味があるといいます。ほとんどの製品が、苦しい時に助けてくれた「職人たち」の生地を使っているのです。
大丸:「恩返しをして、ちょっとでも(業界の)活性化の足しになれば良いかなと思っています」

『一着、一着、思いを込めて作る』それが、大丸氏の貫いてきた服作りです。
大丸:「僕らは絶対にかなわないのは、“お母さんが子どもに作ったセーター”とか、“お母さんが娘に作ってあげたもの”とかには絶対にかなわないんですよ。共通するところは『誰が、どういう思いで作っているか』が入っているかどうかが大事で、そういう「ものづくり」を僕はやっていきたい」

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November 29, 2020 at 08:21PM
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