政府がＩＬＣ国際リニアコライダー誘致の可否を判断する材料となる日本学術会議のマスタープランが３０日、公表された。ＩＬＣ計画の位置づけが注目されたが、速やかに実施すべきとされる「重点大型研究計画」に選ばれず、早期実現は難しい情勢となった。国内の学者や研究者でつくる日本学術会議のマスタープランは、推進すべき大型研究計画を選ぶもので、国の政策の指針となっている。幹事会で承認されたマスタープランでＩＬＣは、１４６件の「大型研究計画」の１つに選ばれたが、その中で、特に優先順位が高く、可及的速やかに推進すべきとする「重点大型研究計画」の３１件には含まれなかった。ＩＬＣは光とほぼ同じ速さで電子などを衝突させ、宇宙の起源に迫る巨大実験施設で、岩手・宮城県境の北上山地が候補地となっている。しかし、７千億円を超える巨額の建設費が課題で、政府は去年３月、マスタープランでの議論が必要との見解を示していた。日本学術会議は一昨年１２月、学術的意義は認めながら、誘致に消極的な見解を示していて、今回のマスタープランでも「重点計画」を策定する上でのヒアリング対象にはなったものの結局その立場は崩れなかった。研究計画・研究資金検討分科会・藤井良一委員長：「ヒアリングの時に、そういう大きな予算に関する質問等が特段にあったわけではなくて、学術的にいい物であるかどうかということだけを観点にやっているので、具体的にそれを基に議論したという事は今回一切ない」政府は今回のマスタープランと、ことし５月に策定される欧州素粒子物理戦略での評価を踏まえ、６月にも判断を示す見通しだが、早期の実現は難しい情勢となった。
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January 30, 2020 at 07:08PM
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