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人を動かす話し方 「共通の敵」を作るためのフレーズとは? - 日経ビジネスオンライン

一生懸命伝えても聞き手は上の空。「結局何が言いたいの?」と返される……。「説明」に悩みを持つ人におすすめしたいのが「仮想敵」を用いた話法。「悪」を明確に設定すると聞き手との間に仲間意識が生まれる。元・駿台予備学校人気日本一のカリスマ講師、犬塚壮志氏が1000人以上の説明を分析して見いだした「説明の型」をフレーズと共に解説。日経ビジネス人文庫『「よい説明」には型がある。』から抜粋・再構成してお届けする。

「人を動かす話し方」のテクニック

 「反対する勢力、これはすべて抵抗勢力だ」

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、これは小泉純一郎元総理大臣が在職中に残した名言です。
 小泉元総理大臣をはじめ、優れたリーダーは、言葉の中に「人を動かす仕掛け」を作っています。

 意識的・無意識的にかかわらず、人を動かしているリーダーが発している言葉には、共通している「型」のようなものが存在します。
 上の小泉元総理大臣のフレーズでは、「抵抗勢力」というワードを用いることで仮想敵を設定し、当時の自民党の結束力を高め、さまざまな改革に向け、周囲の人たちを巻き込み動かしていきました。

 優れたリーダーがさりげなく使っている仕掛けの1つが、この「仮想敵」を利用した説明の型なのです。
 「仮想敵」を言葉に入れる理由や入れるときのコツ、そして、誰でもすぐ使えるような型をご紹介していきましょう。

仮想敵──桃太郎の鬼退治

 仮想敵とは、「実際の敵ではないかもしれないが、仮に設定した敵」のことです。仮想敵を使う目的は、聞き手の目をある1つの方向に向けることにあります。
 別の言い方をすると、仮想敵を作ることによって、自分と聞き手の間に共通の価値観を見いだすのです。それでは、どのような仮想敵を作ればいいのでしょうか。

 一言でいうと、「自分(話し手)にとって都合のいい敵」です。
 そんな敵が実在するかどうかは別として、自分の主張に真っ向から対立する、そんな理想的な敵を描くことです。そこでこしらえた敵を、自分の主張や説明の中の随所に登場させるのです。そうすることで、聞き手との同調性が高まり、同じ方向を向いてくれるようになります。

 仮想敵の具体的な設定方法を説明しましょう。敵の種類は、主に2つです。

 [敵A]悪
 [敵B]不便

「正義vs.悪」が鉄板

 1つずつ説明していきます。

 敵Aは「悪」です。これは、テレビアニメのヒーローものでも「あるある」な設定ですよね。「正義」と「悪」が対比の関係にあります。自分の主張や説明が「正義」であることを声高らかに語るよりも、「悪」を明確に設定して、それに異論を唱えるほうが聞き手には響くのです。

 ここで設定する仮想敵は、強大であればあるほど聞き手はワクワクします。「私たちは業界ナンバーワンを目指します」よりも、「既得権益という甘い汁をすすり続けるすべての企業を淘汰し、業界の健全化を目指します」のほうが聞き手からの共感を得やすくなるでしょう。

 もう少し大きな視野での話だと、「一緒に世界平和を目指しましょう」のようなポジティブな表現よりも、「ともに戦争をこの世から排除していきましょう」のような明らかにネガティブなものである「戦争」を引き合いに出したほうが、聞き手はより頭の中でイメージしやすくなります。

仮想敵を作ることで、自分と聞き手の間に共通の価値観を見いだす(takasu/stock.adobe.com)

仮想敵を作ることで、自分と聞き手の間に共通の価値観を見いだす(takasu/stock.adobe.com)

[画像のクリックで拡大表示]

 なお、仮想敵はあくまで実在する人や企業は避け、「概念」レベルにしておくと無難です。それでも、十分にその「悪役」は役割を果たしてくれます。
 あるいは、冒頭で紹介した小泉元総理の「抵抗勢力」のように、具体名は避け、ぼやかしておくのもテクニックです。

 それ以上に、仮想敵を効果的に使うために、まずは仮想敵の強大さをアピールすることが重要です。「戦時下では、こんなにも痛ましいことが起こっているのです!」といったように。「戦争」の他にも、「格差」「貧困」なども「巨悪」として活躍してくれます。

 この「悪」のイメージを聞き手に植えつけるところから始めるわけです。桃太郎のような昔話でも、鬼の悪徳ぶりをアピールしたあとに退治ですからね。

【即効フレーズ】

「○○(仮想敵)には絶対に負けません!」
「○○(仮想敵)は、絶対に倒します!」
「○○(仮想敵)をなくすことが、私の目指すゴールです」

 余談ですが、冒頭の小泉元総理大臣は、「反対する勢力、これはすべて抵抗勢力だ」の後に、こう続けています。

 「でも、抵抗勢力が私の元気の元でもある」

 このようなフレーズを出せるところが、小泉元総理大臣が多くの国民から支持を得ていた秘密の一つでもあるのでしょう。

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