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台湾発デザイン家具ブランド「STIMLIG」で心地よい空間を作る - Business Insider Japan

 

注目ポイント

台湾を拠点とするデザイン家具ブランドSTIMLIGは、2015年に「バレリーナ・アームチェア」を発表後、人々にその名が知られるようになり、台湾でも数少ないオリジナル家具ブランドとなった。 実はアームチェアだけでなく、モジュラー式ソファの「アイランドソファ」や「NOTEソファ」も台湾で高い評価を得ている。

ユニークなデザインと高品質なクラフトマンシップにこだわるSTIMLIGは、実はすでに日本の企業とも提携している。ニュースレンズジャパン編集部は、ブランド創業者の2人にインタビューを行い、起業のきっかけやデザインコンセプトについて、さらに今後の展望までお話を伺った。

STIMLIG設立のきっかけ

STIMLIGを立ち上げたきっかけは、創業者である孟繁中さんと呉宛真さんが大学時代に交換留学でヨーロッパに行った時に遡る。

孟さんが留学を終えて帰国したちょうどその時に、家族が家具を購入しようとしていたが、ヨーロッパの家具は高価で手が出ず、台湾の家具は手頃な価格のものと高級家具との間に大きな差があることを知り、台湾には優れたデザインと製造能力があるにもかかわらず、オリジナルブランドがほとんどないことに気がついた。

そこで、デザイン性があり、リーズナブルな価格で、しかも消費者が何重もの中間マージンを取られない家具ブランドを立ち上げるというアイデアが生まれた。 

当初、「バレリーナ・アームチェア」を出した時は、クラウドファウンディングを利用した。クラファンで初めて200万ドル以上を集めた家具ブランドとなり、台湾にこのような家具へのニーズがあると確信した。

そこで、孟さんと呉さんは、留学時代のフランス人とベラルーシ人のクラスメートとともに「STIMLIG」を設立した。

創業者の孟繁中さん(右)と呉宛真さん(左)

創業者の孟繁中さん(右)と呉宛真さん(左)。

STIMLIG提供

孟さんとフランス人建築家ギョーム・トマが共同制作した「バレリーナ・アームチェア」シリーズ

孟さんとフランス人建築家ギョーム・トマが共同制作した「バレリーナ・アームチェア」シリーズ。

STIMLIG提供

「バレリーナ・アームチェア」のデザイン画

「バレリーナ・アームチェア」のデザイン画。

STIMLIG提供

ブランド名に使用する言語を決める際、フランス語は発音が難しく、中国語は海外展開した場合、外国人に理解されにくい可能性があった。 何度も検討を重ねた結果、ドイツ語を採用することにした。「STIMLIG」はStimmug(ムード)とSelig(祝福された)を組み合わせた造語で、「祝福されたムード」を意味する。

「STIMLIG」のブランド価値は「心の幸せに寄り添う」ことにあり、ブランドロゴは漢字の「心」に由来している。

「STIMLIG」のブランドロゴ

「STIMLIG」のブランドロゴ。

© STIMLIG提供

ブランド立ち上げの難しさ

創業者たちはデザイン畑出身であるため、デザインやマーケティング面はコントロールできるが、実際は外注生産が最大の難関であった。台湾の工場は、契約履行や生産基準の設定など、コントロールが難しく、うまく協調できない面があった。

問題の根源は、台湾工場はOEMが多く、ブランド管理を理解するのが難しいことにあった。 第二に、台湾の工場はそれぞれのカテゴリーに特化しており、得意とする分野以外に進出することが容易でないため、統合が難しくなっている。最後に、台湾の工場は労働力の高齢化が進んでおり、長期的には生産スタッフの人手不足につながる。

そのため、「STIMLIG」は適切な生産ラインに応じて工場を探すよう調整してきた。製品の中には、後に出会った海外の工場に任せたものもある。そうやって課題を解決し、さらに経営に力を入れることができた。

東京での展示と日本のパートナーとの出会い

2018年、東京で開催された「インテリアライフスタイル」展で日本のパートナーと出会い、プロダクトの一部を日本で販売することが許可された。さらに日本側がベトナムに設立した幾つかの家具製造工場も紹介してもらえた。

それらの工場は日本国内の基準に従って製品を製造しており、品質が非常に良く、国際基準を満たしている。

孟さんと呉さんはまた、ベトナムの多くの工場が実は国際的な工場であることを知った。なぜなら、彼らはさまざまな国からの注文を受け、設備投資を厭わず、厳しい管理を受け入れており、その結果、製品の安定性も高かったからだ。そして台湾の工場が抱える高齢化問題も存在しない。

ソファのモジュール化とフレキシブルな構成

「ソファを購入する際に困るのは、気に入ったソファでもサイズが自分の家に合わないということです」

と孟さんはいう。

気に入ったソファのデザインが自宅のスペースに合わないため、工場に変更を依頼した場合、まず直面するのがデザインの盗作という問題だ。そして、サイズを拡大・縮小したときに、元のデザインとの縮尺にズレが生じてしまうという問題も起こる。

「STIMLIG」はソファのモジュール化にあたり、一般的な家に置けるサイズと組み合わせを先に想定しておき、お客様が自宅のスペースに応じて構成を選べるようにしている。 例えば、スペースが狭い場合は、椅子1脚のみ購入することもできる。

実際、「台北表演芸術中心」で採用されたのは、STIMLIGの「アイランドソファ」(島嶼沙發)であり、ゆったりしたソファスペースで、ゲストが芸術交流を行うことができるようにした。

ソファを独立した島に見立てて着想した「アイランドソファ」(島嶼沙發)。それぞれの「ユニット」を自由に組み合わせることができる

ソファを独立した島に見立てて着想した「アイランドソファ」(島嶼沙發)。それぞれの「ユニット」を自由に組み合わせることができる。

STIMLIG提供

もうひとつ考えるべき点は、台湾人は住宅設計をデザイナーに任せることが多いということだ。

「私たちは、デザイナーに丸投げするのではなく、お客様ご自身も自分の家のデザインに参加してほしいと思っています」

と呉さんは話す。

「例えば、ソファの生地もお客さまが選べるようにしています。猫を飼っている方には引っ掻いても平気な生地を、質感にこだわる方には好みの質感を選んでいただくことができます。

また、チェストや棚などの小物、植物、照明スタンド、ご自身の風水小物などを選んでいただき、自分好みの空間に仕上げることもできます」

「デザイナーに任せてしまうと、結局は流行りのスタイルが取り入れられてしまいます。でも、私たちが欲しいのは、環境が変わってもそのまま使い続けられる、自分らしいスタイルを提示できる家具なのです」

と孟さんが付け加えた。

シンプルでクリーンな印象の「NOTEソファ」(NOTE沙發)は、背もたれを持ち上げるとハイバックに変わる

シンプルでクリーンな印象の「NOTEソファ」(NOTE沙發)は、背もたれを持ち上げるとハイバックに変わる。

STIMLIG提供

シンプルながら様々な使い方が可能な「リバーロックパフ」スツール

「リバーロックパフ」スツール(川石凳)のデザインに日本市場への配慮があるのかとの質問に対し、孟さんは「まだ特定の地域に向けて開発したものはありません」と答えた。しかし、どの製品もデザインのコンセプトの裏には、必ずストーリーがあるものだ。

川を渡る石のように丸みを帯びた「リバーロックパフ」スツール(川石凳)

川を渡る石のように丸みを帯びた「リバーロックパフ」スツール(川石凳)。

STIMLIG提供

「リバーロックパフ」(川石凳)は、川渡り石からインスピレーションを得ており、本体の上下で色を変えている。 石の下は水に浸かっているため色が濃くなっているので、生地は濃い色の繊細なものを選び、上側には立体感のある生地を選んだ。

「リバーロックパフ」のデザイン画

「リバーロックパフ」のデザイン画。

STIMLIG提供

例えば台湾や日本では、スペースが限られているため、L字型チェアやカウチチェアを置くことが難しい家庭が多い。そこで、ソファと「リバーロックパフ」を組み合わせることで対応することができる。

また、「リバーロックパフ」(川石凳)は独立した座椅子やシューズチェアとしても使用でき、マルチなシーンで活躍するチェアだ。

Noteソファ(Note沙發)と組み合わせた「リバーロックパフ」(川石凳)。ソファの延長としても、椅子としても、小さなコーヒーテーブルとしても使える

Noteソファ(Note沙發)と組み合わせた「リバーロックパフ」(川石凳)。ソファの延長としても、椅子としても、小さなコーヒーテーブルとしても使える。

STIMLIG提供

STIMLIGの家具の中で、お客さまが想定外の使い方をしたものは何かと質問したところ、孟さんは、バレリーナ・アームチェアが長時間座っているのに適していることから、高齢の家族が麻雀を楽しむために購入したお客様がいたと振り返った。

ソファは通常、つなげて使用するものだが、「アイランド・ソファ」をシアター風にアレンジしたお客様もいた。

2つのソファの間にチェストをおき、ソファだが一定の距離を保つようにしたという。多用途に使える「リバーロックパフ」に至っては、あるユーチューバーがストレッチ用に使っているとシェアした例もあり、どれも意外な使い方だ。

単体のソファと組み合わせたり、肘掛けやアクセサリーを挟んで距離を保つことができる「アイランドソファ」(島嶼沙發)

単体のソファと組み合わせたり、肘掛けやアクセサリーを挟んで距離を保つことができる「アイランドソファ」(島嶼沙發)。

STIMLIG提供

SDGsを起点としたブランドマネジメント

「STIMLIG」は、家具をデザインする際に「持続可能性」を考慮しており、そのためモジュール型ソファを開発した。

顧客のライフスタイルや家族構成に合わせて家具を配置できることに加え、引っ越しやスペースの変更時にも家具を自由に構成できるため、サイズの不適合によって家具が無駄に廃棄されることがない。

また、「STIMLIG」のソファのクッションのネジやテーブルの脚は何度でも分解できるので、他メーカーのように分解できないということや、一度分解したら解体するしかない、ということもない。

劣化した部分を部分的に新しくすれば、製品を使い続けることができる。

STIMLIGは社会的責任に自覚的であり、熱帯雨林の木材や人体に有害な接着剤は使用していない。

もし本当に家具を捨てなければならないことになっても、環境に大きな害を与えることはない。

コロナ禍で家具に対する台湾人の意識が変化

孟さんは、コロナ禍で在宅勤務となったことで、仕事机とダイニングテーブルの機能を併せ持つ大型テーブルが人気となったことに気づいた。呉さんは、パブリックでインタラクティブな空間が重視されたため、ソファに対する要求が高くなったことに気がついた。

同時に、2人の創業者は、人々が家で過ごす時間が長くなるにつれて、家具の耐久性やデザインの源について考えるようになったことにも気づいた。人々は、その家具は本物か海賊版か、素材は環境に優しいかなど、デザインや品質について考えるようになってきた。

見た目重視か、機能性重視か?台湾と日本の違い

「STIMLIG」は、日本市場では「Boonシリーズ」(テーブル、チェア、ベンチ)のみリリースしている。日本の市場は木やナチュラルな要素が好まれ、外観的にも日本の装飾スタイルに合わせやすくなっているかもしれない。

他方では、日本の家具はシンプルなラインで質感や手触りまで重視し、曲線的なデザインが少ないことに気をつけなければならない。台湾市場では、機能的であることが好まれ、機能性と掃除のしやすさが重視されている。

特に注目している日本の家具ブランドはあるかと尋ねたところ、孟さんは、「カリモク」のクラシックなスタイルが好きだが、北欧スタイルの「カリモク・ニュースタンダード」や「カリモクケーススタディ」の建築家が手掛ける高級スタイルなど、カリモクの分家ブランドにも注目していると答えた。

日本の伝統的なスタイルにとらわれず、明確な定義を持つカリモクのデザインの多様性が気に入っているという。

今後の海外展開にも期待

今後の展望だが、「STIMLIG」は生産サイドの足場が徐々に固まりつつあり、来年からは海外市場への進出を始める計画だ。まずは東アジア、東南アジアでのブランド浸透を図っていくという。

ベトナムを例にとると、家具の需要は高い伸び率を示している。第一に人口構成上、若年層が多く、見通しは明るい。 第二に、ベトナムの購買力も上がっており、ミドル層とハイエンド層の顧客は高価格帯でも受容できるようになった。

実際、ベトナムにある日本企業との合弁工場は、日本国内からの発注以外では、アメリカとベトナムからの発注が多いという。ヨーロッパの人々は、家具に関しては自国へのこだわりが強い。東南アジア市場に参入すれば、シンガポールやマレーシアにも進出できる。生産ラインの安定性が増せば、次の海外展開へ一歩踏み出すことになるだろう。

The News Lens Japanより転載(2023年12月11日公開の記事

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