記者の顔にメークするメーキャップアーティストの野条啓子さん（右）
男性向けのスキンケアやメーク用品が全国的に売り上げを伸ばしているという。福井県内の生活雑貨店やドラッグストアでも、化粧水や乳液に加え、美容液やファンデーションが一緒になった「ＢＢクリーム」、リップなどコスメ商品が充実している。ジェンダーレスに対する理解やユーチューブで使い方を手軽に学べることも追い風になり、男性の肌の手入れが「身だしなみの一つ」として定着してきたようだ。男性もメークの時代!?
■３年で急増
福井市の福井ロフトで１１月下旬まで開かれていたコスメ商品のフェア。メーンの売り場には、男性向けの下地のジェルやＢＢクリーム、アイブローなどが並んでいた。
男性向けコスメは１０年ほど前から販売しているが「ジェンダーレスの考え方が浸透してきたここ３年ほどで一気に増えた」と玉木淳美店長（３７）。同店の売り場は約２倍になり、現在は約４００点を扱う。
印象を上げつつ“盛った”ことがばれないよう、ＢＢクリームやリップ、ネイルには無色や薄いカラーの商品も取りそろえている。購入層は１０～４０代で、清潔感を求めるビジネスマンからおしゃれ目的の若者まで幅広い。
男性がコスメを手に取るハードルは「ユーチューブやＳＮＳで気軽に使い方を学べることで下がった」と玉木店長。新型コロナウイルス禍で「オンライン会議の顔映りや、マスクによる肌荒れを気にする人が増えたことも後押しになった」と分析する。
■効果が自信に
「第一印象が大切だと思ってスキンケアを始めた」と話すのは、坂井市の会社員男性（２５）。洗顔に始まり化粧水、美容液などを含む「多機能乳液」を塗り込むまでの「３点セット」は毎日の習慣で、週２回はパックも欠かさない“コスメ男子”だ。
元々は男性のスキンケアやメークに抵抗があったが、社会人になり人に会う機会が増えたことから気遣うようになった。肌荒れのないなめらかな質感を維持することで「相手に好印象をもってらえるのはうれしい。何より効果が見えると自分の自信にもなる」と笑顔がまぶしい。
「１カ所良くなると他が気になる」そうで、今では歯のホワイトニングに通ったり、まゆを理想の形に描くメークに挑戦したりと、美の追求に余念がない。
メーキャップアーティストの野条啓子さん（４４）＝福井市＝によると、自然なメークで印象アップを目指す男性は増加中。メーク用品には保湿や日焼け止め成分が含まれているが、これらの成分は性別に関係なく必要なため「男性もメークは有効」と話す。
■別人になった気分
印象を上げるメークって？ 野条さんに、記者の顔を“実験台”にしてもらった。まず下地のジェルを塗り、肌にうるおいを与え保湿。乾燥でメークが浮くのを防ぐ効果があるそうだ。次に、コンシーラーでくまや青ひげによる肌の色むらを除去。さらにＢＢクリームを塗り広げ、肌の表面を均一に整えつるりとした印象に仕上げる。
アイブロウは眉を「描く」のではなく、隙間を点で「埋める」ように引き目元をはっきりした印象に。リップは唇に血色感やうるおいを与えてくれる。
コンシーラーやＢＢクリームの効果で青ひげ、くまが目立ちにくくなり、明るい印象に。目立つ場合は、反対色のピンクや黄色系のチークをのせると打ち消してくれるという。
メーク前後の印象の違いは想像以上で、別人になった気分。同僚に「今日肌きれい」などと声をかけられ、なんだか顔に自信がもてたような…。と同時に、毎朝メークする女性の手間や苦労も知った。朝の貴重な３０分を睡眠に充てるか、メークで印象を上げるか、まだ結論は出ていない。
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December 01, 2022 at 04:00AM
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男性の肌ケア、化粧…もはや社会人の身だしなみ? BBクリームやリップ…コスメ商品も充実 - 福井新聞
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