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BMWがNVIDIAと作るバーチャルファクトリー。世界中のスタッフが繋がって進化する次世代工場とは? - GENROQ Web(ゲンロク ウェブ)

デジタルツインを加速する自動車工場

今、クルマが加速度的に高度化している。操縦性能を高めるための各種デバイス類はもとより、省エネや利便性アップなど、様々な目的のために先進的ソフトウェアが続々導入されているのはご存じの通り。そして、そのかたわらで、クルマそのものを作る工場側もまた足並みを揃えるようにして進化している。たとえば自動車づくりの本丸ともいえる車両アッセンブリーラインには、AIやビッグデータ分析、5Gネットワーク環境、VRシステムなどを積極投入する“デジタル工場化”の流れが起こっている。

複雑な生産システムをより効率的に動かすべく、各自動車メーカーは工場設備の見直しを常に図ってきた。そして、BMWはこのたび、NVIDIAと組んで最新のバーチャルファクトリーを構築しようとしている。

BMWはNVIDIAの「Omniverce」プラットフォームを導入。工場のさらなる効率化を実現する

BMWはNVIDIAの「Omniverce」プラットフォームを導入。人やロボット、部品、搬送の流れなどを、写真のようにリアルなバーチャル画面を通じてシミュレートすることが可能で、世界中のどこからでもリアルタイムにひとつのデータベースにアクセスすることができる。

世界中の3D設計チームを繋ぐプラットフォーム

先端AI研究、GPU仮想化技術、次世代半導体などで知られる米NVIDIAが開発したのが、世界初のテクノロジープラットフォーム「Omniverse Enterprise(オムニバース エンタープライズ)」。世界中の3D設計チームが、共有仮想空間内でリアルタイムに協働できるプラットフォームであり、設計者や技術者、アーティストなどが、対面ミーティングや膨大なファイルの交換などをすることなく、仮想空間で同時作業することが可能になるという。

BMWは、その革新的プラットフォームを自動車メーカーとしていち早く導入。第4次産業革命=インダストリー4.0における重要なキーワードである「デジタルツイン(リアルとデジタル空間を連携させたシステム)」をさらに押し進めようとしている。

BMWの生産担当役員、ミラン・ネデリコビッチは語る。

「我々はいま、バーチャルとデジタル設計の世界で大きな一歩を踏み出し、まったく新しい観点を切り拓こうとしています。オムニバースは、私たちの設計プロセスの精度とスピードを格段に向上し、さらなる効率化を後押ししてくれるでしょう」

BMWはNVIDIAの「Omniverce」プラットフォームを導入。工場のさらなる効率化を実現する

時代は少品種多量生産から、多品種少量生産へ。頻繁なライン変更には、オムニバースのようなデジタルプラットフォームを利用したシミュレーションが有用。

写真のようにリアルな再現画面

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも次のように説明している。

「人々がロボットと共に働く未来のBMW工場では、工場設計エンジニアは共有仮想空間の中で共に仕事を進め、工場内のすべては写真のようにリアルな再現度でシミュレートすることが可能となっています。NVIDIAのオムニバースは、その“明日”を実現するために開発されたのです」

将来的にBMWの工場は、設計と企画、オペレーションチームが連携してシミュレートを行ったうえで、はじめて現実の生産プロセスがスタートするようになる。これこそが「未来のものづくりのカタチである」とフアンCEOは語っている。

BMWはNVIDIAの「Omniverce」プラットフォームを導入。工場のさらなる効率化を実現する

部品番号なども登録できる「オムニバース」は、生産プロセスだけでなく、ロジスティクス面からの計画立案にも利用できる。

いつでも、どこでも、“カイゼン”を

現代の自動車工場は、短期化するモデルサイクル、増えるカスタマイズ需要などにより、頻繁にかつ柔軟に変更できるライン設計が求められている。フレキシブルに構成を変えられるよう、仮想工場はすでに広く採り入れられてきた概念だが、これまでは様々なアプリケーションを介してデータを収集する必要があった。それゆえに、多くの時間がかかるだけでなく、互換性の問題も常に生じていた。しかも、せっかく集めたデータが最新のものではなかった、という場合も少なくない。しかし、オムニバース プラットフォームを利用すれば、常に最新の“生きたデータ”に基づき、適切なデータベース上で連携し効率的なシミュレーションを行うことができるというわけだ。

写真のようにリアルなシミュレーション画面は、オムニバースが誇る数多くの強みのうちのひとつに過ぎない。例えば、異なる地域、異なるタイムゾーンにいる従業員同士が、ひとつのシミュレーション空間の中で共に働くことができるのも特徴。細やかな“カイゼン”を積み重ねて効率を上げていく生産ラインでは、「いつでも、どこからでも、すぐに」改良が行えるのは大きな利点といえる。さらにオムニバースには各アイテムや部品、原材料などを登録することができるので、物流計画の立案にも利用することができる。

BMWはNVIDIAの「Omniverce」プラットフォームを導入。工場のさらなる効率化を実現する

自動車工場のより迅速で細やかな“カイゼン”には、いまやデジタルツールの活用が不可欠。各メーカーはAIやビッグデータ、5G通信などを駆使して、より効率的な生産を実現しようと積極的にデジタルツインを進めている。

これからBMWの生産プランナーは、世界のどこにいても、あらゆる工場の「企画から生産まで」を画面の中でリアルに把握することができるようになる。オムニバース プラットフォームは、より効率的な生産を可能にするだけでなく、新型ウイルスがもたらした新たな概念、「リモート社会」にとってもひとつの福音といえるかもしれない。

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