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失恋が取り持つ縁?…さだまさしさんと歌を作る企画スタート - 読売新聞

 失恋は歌と相性がいい。元々、失恋をテーマにした歌は多い上に、理屈ではどうしようもない気持ちをいたわってくれたり、出口の見えない暗い気分を一新してくれたり……。誰しもが「マイ失恋ソング」を持っていると思う。

 私にとって、失恋ソングといえば、さだまさしさんの「北の国から~遥かなる大地より~」である。みなさんご存じの通り、名作ドラマの主題歌で、歌詞はない。だいたい、失恋を想定した曲でもない。しかし、この曲が流れるたびにギュッと心が締め付けられるのは、大学に入って早々、ラベンダーの香る富良野で女の子に振られたというごく個人的な体験による。今ではそんなことはないはずだが、30年ほど前のあの時は街中にこの曲が流れていて、北の大地での失恋をよりドラマチックな思い出にしてくれた。

 高校時代から大のさださんファンだったが、この体験のせいもあって、さださんの曲の「厳しさ」ばかり耳に入るようになってしまった。「二軍選手」を聞けば、もうスポットライトが当たることがない主人公に涙し、「道化師のソネット」を聞けば、人生で二度と交わることのないあの人のことが思い浮かんだ。ひょんなきっかけで出会った男女が結婚する「雨やどり」を聞いても、「俺にはこんな出会いはないんだろうな」とネガティブに……。

 しかし、そんな真っ暗な青春時代も終わり、晴れて社会人に。結婚の報告に行って先方のお父さんに殴られるということはさすがになかったけれど、音信の途絶えていた女性から突然、結婚の報告の便りが来たり、千鳥ヶ淵の夜桜が忘れられないほどきれいなことを知ったりと、さださんの歌の世界を実際に体験することが増えた。ドラマ「北の国から」もコロナ禍の中でようやく全話を見終えることができ、ああ、このドラマにはあの曲しかないなあと思えるようにもなった。

 ちょうどそんな折である。KODOMO新聞の10周年企画で「音楽」をテーマにしようという話になった。

 音楽は、新聞というメディアではなかなか扱いにくい分野だ。メロディーを活字で伝えるのは不可能。五線譜を使う方法もあるだろうけれど、それで音楽の感動を伝えるのは至難の業だ。

 ならば、「曲をつくる」という作業自体を新聞で伝えるのはどうだろうか。どうしたら曲の詞は生まれ、そこにどんな節がつくのか。もし、作曲のコツというものがあるのなら、それを紙面で伝えられないか。そんな思いつきで、企画はスタートした。

 

 実際に読者の子どもたちに曲をつくってもらおうというところまではすぐに決まった。ただ、編集室に作詞作曲をしたことのある記者は皆無。誰に監修してもらうのか。編集室で様々なミュージシャンの名前が挙がる中、私が挙げたのがさださんだった。

 そして、とても幸運なことに、さださんは「子どもたちのために」と監修に快諾してくれた。超多忙なスケジュールを調整して、1年間、私たちの企画につき合ってくださるという。

 さださんは「歌は訴えること」だという。小学生にだって日々の生活の中で訴えたいことは必ずある。訴えたいことさえあれば、歌は生まれるのだと。

 音楽の素人がずらりと勢ぞろいした編集室だけれど、精いっぱい、子どもたちをサポートしたいと思う。企画への申し込みは、このサイトまで。ぜひ、この機会にチャレンジしてほしいと思う。1年後、どんな曲が出来上がるのか、とても楽しみだ。

 ちなみに、また個人的な話に戻るのだけれど、この企画を始めるにあたってさださんとお話しできる機会に恵まれた。信じられないほどきさくな方で、一言一言をかみしめながら聞いた。暗かった大学時代の思い出に少し光が差してきたような気分になれたことは報告しておきたい。

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 メールアドレスは、shakaicolumn@yomiuri.comです。

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