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電気自動車を作るために環境破壊?開発に揺れる山奥の村、住民の疑問 [フランス大統領選挙2022] - 朝日新聞デジタル

 パリの街に必ず落ちているごみの一つに、地下鉄の切符がある。

 1枚1・9ユーロ(約260円)。

 日本と違って出口に改札機がないためか、あちこちに捨てられる。

 その光景も、今年3月で終わりになるはずだった。環境に悪いからと、交通ICカードに一本化される予定だったのだ。

 だが、その方針は年明けに撤回された。

 ICカードの増産が難しくなったためだ。カードに必要な電子チップが世界中で足りなくなっていた。

 欧州はいま、半導体やコバルトなど希少資源の確保に走る。ロシアによるウクライナ侵攻で、世界のサプライチェーン(供給網)が脅かされ、資源価格は高騰した。

 各国による希少資源の囲い込みの懸念は、いっそう深まりつつある。

 こうした戦略資源の確保は、欧州にとっての経済安全保障の最前線だ。フランスのマクロン大統領も、「欧州の主権」回復を唱え、欧州が必要な資源を自前で確保することの大切さを強調してきた。

 欧州連合(EU)は2月、半導体の生産能力を高めようと、2030年までに430億ユーロ(5兆8千億円)をこの分野に投資すると決めた。

 フランス、そしてEUがほしがる材料は、ほかにもある。リチウムだ。

 電気自動車(EV)の電池に必要なレアメタルだ。ドイツやフランスは、自動車産業の生き残りをかけてEV開発を進めているが、EUはリチウムの86%を輸入に頼る。

資源大国ロシアが引き起こした戦争は、世界のサプライチェーン(供給網)に深く長い影を落としました。電子チップにリチウム、コバルト……。フランスやドイツが生き残りをかける電気自動車などの先端産業は、こうした希少資源に依存しています。その欧州にとっての経済安保の最前線が、ポルトガルの山中にありました。

 そのEUに10年代半ば、朗報が舞い込んだ。ポルトガル北部の山奥で、欧州最大級のリチウム鉱山が見つかったというのだ。

 だがそこは、国連食糧農業機関(FAO)が世界農業遺産に選んだ土地だった。

「拒めば接収される。ダム開発みたいなもの」

 18年夏の昼下がり、アーモンドの木々に囲まれたアイダ・フェルナンチさん(43)の自宅に、背広姿の白髪の男性が訪ねてきた。

 人口180人のコバシュドバ…

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