シンガー・ソングライターおかゆ(32)が1日、東京・渋谷横丁の「純喫茶&スナック 思ひ出」で、同日発売の新曲「渋谷ぼっちの歌謡曲」発表会を開いた。

席上で、流しを始めて10年でアーティストへと踏み出していく今後の目標として、故郷・北海道から17歳で上京した芸能活動の“原点”渋谷の代表曲となる1曲を作り上げると誓った。具体的には、鈴木雅之(67)が菊池桃子(55)とデュエットした96年の大ヒット曲「渋谷で5時」を超える曲を作りたいと大目標を掲げた。

おかゆは流しを始めて10年目となった、母の命日の今年4月20日をもって「流しのおかゆ」から「アーティストおかゆ」と、新たなフェーズへ第1歩を踏み出した。22歳だった14年から東京・湯島でスナックや居酒屋を巡る活動を始めた際、上京後に事故で他界した母の口癖だった「七転び八起き幸せに」を数字に置き換え、流しで出会った7842人と写真を撮ってブログに上げると決めた。その目標を達成したことで「これからは私自身の夢をかなえていく」と、アーティストとして生きていく決意をした。

どのようなアーティストになっていきたいか、具体的な方向性は? と聞かれると「海外の方に知って、好きになっていただきたい。そういう世界観も作っているんで」と口にした。自ら好きで、流しでも歌い上げてきた歌謡曲、そしてシティポップが近年は海外で再評価され、人気が高い。渋谷にもインバウンド(訪日客)が多数、訪れており「渋谷の一部に自分がなって、微力ながら魅力を発信したい」と力を込めた。「東京のギャルに、どうしてもなりたかったのが、憧れて出てきたきっかけ。自分を表現していて格好良いと思った。渋谷が私を強くしてくれた」と語る、芸能活動における“原点”渋谷と、音楽でさらに一体となっていきたいと訴えた。

その上で「渋谷と言えば、皆さん『渋谷で5時』が代表曲ですよね。超える曲を作りたい。何とか超えたいですね。令和の名曲を作りたい野望があります」と力強く宣言した。20年には、吉幾三(71)から書き下ろし曲「独り言」を提供され「自分自身の作風が広がった」と感謝する一方で「自分で曲を一貫して作ってきたのが、こだわりの1つ。たくさんの方に歌っていただきたいので、自分の楽曲が輝くのであれば楽曲提供も、話があれば、していきたい」と楽曲制作に強い意欲を見せた。

この日の発表会には、お笑いコンビ・ブッチャーブラザーズのリッキーとしても知られる、所属事務所サンミュージックの岡博之社長(65)が視察に訪れ、生歌唱を見守った。サンミュージックには、現在も所属する都はるみ(76)に加え松田聖子(62)早見優(57)酒井法子(53)ら、NHK紅白歌合戦に出場した演歌歌手、アイドル歌手が多数、在籍した時代があった。同社長は「演歌、Jポップ…必ず、歌は日常にあるもの。昭和から平成に変わる時、紅白に5人出したのが誇りだった。歌を売りたい」などと、人気歌手を多数、擁した“歌のサンミュージック”復権を一大目標に掲げている。

おかゆは、4月23日にNHK総合で放送された「うたコン」に生出演し、所属レコード会社・ビクターの大先輩、青江三奈さんの名曲「伊勢佐木町ブルース」を生披露するなど、昭和歌謡の継承者としての地歩を1つ、1つ築いている。それだけに、岡社長の期待は大きく、おかゆの歌唱を見届けた後「昭和歌謡、ここにあり、みたいに頑張って欲しい」と期待を込めてメッセージを送った。その上で「良い意味で昭和のやり方で、草の根で、まめに同じ方向を向いて、やっていこうと思っている」と語り、おかゆが“歌のサンミュージック”復権の軸の1人になっていくことに期待を寄せた。