2021年なかなかあっぱれ快晴といかない世情でありましたが、この12月はクリスマスや賞与での自分へのご褒美など、高級ブランドのギフトに触れる機会があった人も多いのではないでしょうか。
そんな時期のギフトとしてポピュラーな欧米高級ブランドのギフトボックスを開ける瞬間、抗しがたいアドレナリンの分泌を誰しも感じてしまうものではないでしょうか。それらブランド品は、うやうやしく手袋でショーケースから引き出され、いざお金を払うと薄紙に包まれ、化粧箱に格納、もちろんギフトともなればリボンがかけられさらにショッパーと呼ばれるブランドのロゴ入りの紙袋に入れられて我々の手元にやってきます。もちろん、その化粧箱もショッパーも、製品自体と変わらないセンスの良さを感じさせてくれるのがうれしいところ。すでに店を出てショッパーを持って街を闊歩するときの高揚感が、それが自分へのご褒美であっても、誰かへのギフトであっても安くない出費の痛痒を軽く上回ってしまうのも不思議なところです。
もちろんそんな化粧箱をデザインし、用意するためには相応の費用と手数がかかっているわけで、実利主義者からは、そんな実際に使用に供される製品自体でもない、言ってみれば“たかが”持ち運びの道具ごときにお金をかけるとは、ムダ、見栄、愚の骨頂とシラケた目で見られるかもしれません。
一方で、高級ブランドの理解者からすれば、どんなディテールにも熟練の技術と素材で最高のものを提供する高級ブランドならではの付加価値を箱やショッパー“さえも”体現していると感じるのです。
ここら辺が高級ブランドに対して肯定的価値観を持つ人と、買えるか買えないかに関わらず否定的な人の分岐点かもしれません。
なぜか捨てられないエルメスの化粧箱
そんな高級ブランドを象徴する化粧箱の中でも、やはりエルメスのアイコニックさは別格と感じます。おなじみのエルメスオレンジが、華やかさと同時に若干落ち着いたトーンであることもあって、高級感を同時に感じさせてくれます。あしらわれるロゴの大きさもかなり小さい目、他の意匠と言えばせいぜい化粧箱の場合縁取りの細い茶色の線ぐらいで、全体としてかなりシンプルです。特に日本人に好まれるのも、この適度なアンダーステートメントさゆえではないでしょうか。
それにしても、最近周辺やネット上の有名人などに、エルメスを自分へのご褒美として購入、もしくはコレクションレベルで買い集める方が存外に多いことに気づかされます。典型的にはバーキンを10個,20個と買い集めている女性など結構いらっしゃいます。1個がサイズや素材などによって違いがあるとはいえ軽く100万円オーバー、そもそも入手困難で知られるバーキンへの偏愛は、戦国大名が一国の支配権と同等のレベルで執着した茶器などの名物のようでもあり、どうしても微笑させられます。日本にはどれだけのバーキンがクローゼットの奥、あるいは自宅飾り棚に温存されているのでしょうか。
そして、そんなお方のご自宅を拝見させていただくと、必ずと言っていいほど箱やショッパーを捨てずに大量に取り置かれていることが多いのです。SNSなどにアップされる新たなエルメス自慢の背景には、これでもかとオレンジ色の箱の山が築かれていたりします。
と人のことをとやかく言う前に、実は筆者のクローゼットにもそれほどたくさんではないのですが、エルメスのオレンジ色の箱がチラホラあるのでした。そう言われてみれば、ネクタイや小物などいただいきもの箱を捨てられず後生大事にとっておいたものです。この箱に日常的に収納しているのならばともかく、製品自体はネクタイラックにかけるなどして使っているわけで、合理的にはまったくこの箱をとっておく理由もないし、特にネクタイの箱などは薄すぎて他に再利用しようもないのです。断捨離の先生から真っ先に整理を進められそうなアイテムに違いありません。そう考えると、貧乏性のほどに我ながら呆れてしまう訳ですが、フリマアプリなどを覗いてみるとエルメスの空き箱が、それだけで結構な金額で取引されていますから、意外と誰にとっても捨て難いものなのかなとも思います。
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December 28, 2021 at 09:00AM
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