● 自分の言葉がどのように伝わるのか 「想像力」を働かせよう 経営者や役職者といったリーダーが職場で発する言葉は、いい意味でも悪い意味でも従業員に影響を与えます。例えばあまり深く考えずに遣いがちな「頑張れよ」。リーダーが成績が良くない部下に対してハッパをかけるつもりで「頑張れよ」と言っても、部下からは「はい、頑張ります」という答えが返ってくるだけで、その場しのぎの無意味なやりとりで終わります。そして、それでは結果が出にくいので、上司に対する信頼や尊敬が失われがちです。 【この記事の画像を見る】 この場合は「頑張れよ」で終わらせずに、何を、どのくらい、どう頑張ればいいのかを具体的にアドバイスする必要があります。そうすれば、少なくとも何をすれば評価されやすいかが分かり、リーダーに対する信頼度も上がります。それで期待されるような結果が出れば、本人もやる気が高まり、リーダに対する信頼度や尊敬が増すことになります。このように、リーダーには具体的にアドバイスする能力が求められますが、そのためには、普段から数字で考えるなど、具体的に物事を見るクセが必要です。
中小企業経営者に多い「従業員は家族だ」という言葉はどうでしょう。そう言いたくなる気持ちは分かります。中小企業の場合、経営者と従業員の距離が近く、一人一人の顔が見えるので、成長してもらいたい、幸せになってもらいたいという気持ちが強くなるからです。 でも、その経営者の気持ちが従業員に正しく伝わっているとは限りません。「家族と同じような愛情を持って接している」「どんな場合でも従業員をサポートする」という気持ちを込めて「家族」と言っていることを説明しなければ、「家族なのだから早出・残業をいとわず働け」というふうに受け取られるかも知れません。 もう一つ、注意しなければいけないことは、従業員の側が「家族」と表現されることを喜ぶかどうかです。「家族」という言葉の受け止め方は従業員の育った環境により異なります。家族を信頼していて家族が好きという人であれば、経営者から「家族」と言われることはおそらくうれしいと思います。逆に家族にマイナスの感情を持っている人は、歓迎しないかも知れません。もちろん、家族と会社は違うのだから「家族」と呼ぶなという考えの人もいるでしょう。信頼度の低い社長から「家族」と呼ばれてもいやに感じる人もいるでしょう。 相手の状況がそれぞれ違うのだから、リーダーは「家族」に限らず、自分が発した言葉が相手にどう伝わるのかを想像する力が必要だし、誤解を生まないように真意をきちっと伝えなければなりません。それでも「家族」と言いたいのなら、口先だけで終わらせず、態度や行動で示さなければなりません。具体的に家族同様に接する、大切にするなどです。言葉だけでなく、態度や実績で示す必要があります。「家族」という言葉を遣ってブラックな職場を正当化することなどは論外です。 ● 信頼を育てる一番の方法は 「言ったことを守る」こと 当然のことながら法令違反を強いる言葉、ハラスメントにつながるような言葉は発するべきではありませんが、そこまで至らなくても、相手を傷つけそうな言葉には慎重になるべきです。身体的な特徴をからかうような言葉はもちろん、あまり相手のプライベートに踏み込んだ話も避けるべきでしょう。ただ、プライベートに関してはさじ加減が難しくて、アドバイスの内容によっては、家族構成やこれまでのキャリアなど、プライベートを考慮する必要もあります。こうしたケースでは、受け取る側の感覚がよりどころになりますが、要は、相手に対して真摯な関心を持ち、相手のためにアドバイスすることが必要なことは言うまでもありません。それでも相手を傷つけたり、不快な思いをさせることもありますから、相手の立場に立ったアドバイスや発言が必要です。 私はよく、「相手の視点に立てる人が幸せになれる人」ということを話しますが、自己中心的な人はどうしても自分の感覚でしか相手を見ていませんし、そういう発言をしがちです。難しいことですが、相手の立場や視点に立てるかどうかが大切なのです。そういう人は、自分を客観視することもできる人です。 一方、従業員から見て、相手が信頼できるリーダーなら少し踏み込んで言ってもらった方が有難く感じるでしょう。信頼できないリーダーに踏み込んだことを言われると放っておいてくれと思うし、パワハラと受け取られかねません。頑張っていないリーダーに「頑張れよ」と言われれば、心の中で「お前こそ頑張れよ」と反発します。 信頼を醸成する一番の方法は、言ったことを守ることです。信頼の「信」は人の言葉と書くように、言ったことを守るリーダーは信頼されるし、口先だけのリーダーは信頼されません。小さなことでも、大きなことでも言ったことは守るのです。 さらに、P.F.ドラッカーが言うように、リーダーは、信頼に加えて尊敬される存在であるべきです。ドラッカーは尊敬されるリーダーは「何が正しいか」を考えると述べています。何が正しいか――その判断基準を身につけるためには、私は、何千年もの間、人々が本質的に正しいと認めてきた「論語」や「仏教」の本などを読むことを薦めています。もちろん、「聖書」などでもかまいません。本質的に正しいと思うことを勉強して身につけない限り、人から真に尊敬されることはないのです。生き方を身につけた人の言葉には、本物の「重み」があるのです。 (小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
からの記事と詳細 ( 信頼されるリーダーと敬遠されるリーダーが発する「言葉」の違い(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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