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経産省が「産業政策の再評価」に舵を切った理由 - 東洋経済オンライン

「米中対立とコロナ禍」の中で国民的議論を

米中対立の中で、日本は「政府の役割」を再考する必要がありそうです(写真:barks / PIXTA)

「経済安全保障」と「政府の役割拡大」という新潮流

世界的に経済政策の流れが変わりつつある。財政出動の是非を論じる時代は終わり、今や政府の財政を何に使うかが具体的に議論される時代になった。グローバルな供給網の脆弱性が意識されるようになり、重要部品の国内生産比率を高める動きも見られるようになった。デジタル化やカーボンニュートラルに向かう産業界の動きを後押しする政策も、各国で重要性を増している。

この6月、経済産業省が産業政策の新たな方向性を打ち出した。「ウィズコロナ以後の今後の経済産業政策の在り方について」と題されたレポート(以下「ウィズコロナ」と略記する)では、コロナ・パンデミックの余波がこれからも続くという見通しの下、経済政策を転換する必要性が強調されている。

産業政策といえば、経産省の前身である通産省の時代から、日本のお家芸と見なされてきた政策分野である。戦後日本の急速な経済発展は、民間の旺盛な投資意欲や市場競争のおかげであると同時に、政府による重点産業の保護・育成といった産業政策の成果でもある。

もっとも、どこまでが民間の努力で、どこまでが政府の政策のおかげであるかという線引きは、必ずしも自明ではない。日本の優れた官民協調体制の成果を重視する論者から、産業政策の過大評価を戒めて市場競争の成果を強調する論者まで、さまざまな立場の論者が戦後日本の産業政策の実像について議論を重ねてきた。

ここでは、それらの歴史研究の詳細に立ち入る余裕はない。ただ大きな流れで言えば、最近は中国に代表される新興国の急成長を受けて、産業政策論の再評価が進んでいるのは間違いない。1980年代から2000年代まで、グローバル化全盛の時代には「フラット化する世界」の中での市場競争が重視される傾向にあった。

だが近年は、米中対立の激化にともなう「経済安全保障」意識の高まりや、コロナ禍を奇貨とした「政府の役割」の拡大という政策潮流の変化を受けて、新たな時代に対応した新たな産業政策論が、各国で盛り上がりを見せはじめている。

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