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中下流域も減水可能性 JR、具体例を初提示【大井川とリニア】|静岡新聞アットエス - @S[アットエス] by 静岡新聞

南アルプストンネルの縦断面図
JR東海が示した大井川中下流域の河川、地下水量が減少する可能性のある主なリスク要因

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、JR東海は28日に東京都内で開かれた国土交通省の専門家会議で、下流側に戻すトンネル湧水量などが想定と異なる場合に中下流域の水量が減少する可能性があると説明した。JRはこれまで、水量に影響が出るのは上流域だけで中下流域に影響は出ないとしてきたが、中下流域の水利用に影響を及ぼす可能性を初めて具体的に示した。
 影響の可能性を認めた上で対策を講じるよう求めてきた静岡県と激しく対立していたが、会議を傍聴した難波喬司副知事はJRの対応について「考え方を大転換した」と評価し、議論の進展に期待感を示した。
 国交省や県の会議では、地質や河川流量などのJRの調査不足が問題視されている。JRは28日の国交省会議に提出した資料で、中下流の表流水や地下水に影響が出る可能性がある場合を12のパターンで列挙した。トンネル掘削時に想定外の地質が現れたり、高圧大量のトンネル湧水が突発的に出たりすれば、想定した流量予測が変わり、中下流域の河川や地下水の水量が減る可能性があるとした。
 地震や豪雨による工事の遅れ、水を戻すポンプの故障、想定外の降水量などもリスク要因として挙げた。
 山梨県へのトンネル湧水流出の対策としてトンネル貫通前に流出した湧水量と同じだけ、山梨県内の工事で発生した湧水を貫通後に静岡県内区間から大井川に戻すことで「トンネル湧水の全量戻し」の約束を守ることも説明した。この方法では下流側の水量に影響が出る時期に湧水を戻せると限らないが、影響回避につながるかどうかはこの日の会議で議論されなかった。対策については次回会議で議論を続ける。
 福岡捷二座長(中央大教授)はこれまでの議論を次回会合で取りまとめ、その後、流域市町に説明する意向を示したが、森下祐一委員(静岡大客員教授)は流域の意見を先に聞くべきだと主張した。

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を検討する国土交通省専門家会議は28日、JR東海が示した工事で想定される影響とその対処法や、流域の水循環を示した図の在り方などを中心に議論した。委員は対処に一定の評価をした一方で、影響の整理方法や説明する際の表現には改善を求める声が上がった。

 ■影響への対処に一定評価 国交省専門家会議 JR説明表現に改善要望
 JRは中下流域を含めて水量と水質に影響を与える要因について、地盤、気象、設備、施工の四つに分けて説明。影響度、発生確率、重要度の評価と、対処法を記載した整理表を提示した。
 県有識者会議「環境保全連絡会議」の地質構造・水資源専門部会長を務める森下祐一委員(静岡大客員教授)は影響度などの評価方法で、東日本大震災を例に挙げ「発生確率にかかわらず、影響度が高い場合は(重要事項としてしっかり)対応すべきだ」と強調した。ただ、沖大幹委員(東大教授)は発生確率と重要度の評価に対し「発生確率は影響を回避できない可能性を示していると察するので、(JRはより)分かりやすい説明を」と提案した。
 JRは山梨県側に流出するトンネル湧水量の低減策として「高速長尺先進ボーリング」を行い、発生した地下水をポンプアップで大井川に流す計画を示した。これに対し、県有識者会議メンバーの丸井敦尚委員(産業技術総合研究所プロジェクトリーダー)は「高速長尺先進ボーリングはどのような情報が分かるのか。その役割や安全性をまとめてほしい」と求めた。
 大井川の水循環を表した概念図には、大東憲二委員(大同大教授)が「工事完了後にトンネル湧水は低減し、導水路で運ぶ水量も減るはずだが、完了直後と完了後の恒常時の椹島(さわらじま)での導水路の水量が同じなのは違和感がある」と指摘した。

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