年末の慌ただしい時期に、自動車業界を震撼(しんかん)させたのがこのガソリン車禁止のニュースだった。 【図解】菅首相の所信表明演説の概要 まずはファクトを確認しよう。記事の執筆時点である12月28日の時点で、政府からの公式な発表として確認できるのは、10月26日の菅義偉首相の所信表明演説と、12月11日の小泉進次郎環境大臣会見だけだ。12月9日には小池都知事が「2030年までに脱ガソリン車」と発言しているが、これはあくまでも都知事の発言であって、国の方針とは別。実現の可能性を検討した節も見えないので、今回は取り上げない。 さて、カンタンにするために、所信表明演説を超訳するが、一応、疑り深い人のために、所信表明演説の抜粋を付けておくので、超訳が恣意的なものかどうか検証したい方はご一読いただきたい。そうでない方はこの抜粋は飛ばしても問題ない。
10月26日 菅首相の所信表明演説(抜粋)
我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。 もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。 鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます。環境関連分野のデジタル化により、効率的、効果的にグリーン化を進めていきます。世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環をつくり出してまいります。 省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立します。長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換します。 超訳がこの図である。要するに「これまで環境を取るか経済を取るかの二者択一のように議論されてきたが、それは過去のものであり、これからは環境技術でリードしていくことこそが国際競争力の源泉となって、ひいては国を豊かにする」ということを言っている。 次に、具体的な重点対象を超訳したものが下図だ。「次世代型の太陽電池とカーボンリサイクルが対象」だと言っている。ただし、後に手段の部分で原子力発電が出てくるのにここで触れていないのは、原発問題はデリケートなので、あんまり言及したくないのだと思われる。 では、どうやってそれを実現していくのかといえば、ここでは、再生可能エネルギーと原子力を挙げていて、予防線として「安全優先」と断り書きがわざわざ付けてある。加えて「石炭火力政策を抜本的に転換」との言い回しで、「廃止」とハッキリは言わずに言葉を濁していることが分かる。 ひとつ疑義があるのは、「50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」というのであれば、石炭を完全撤廃するだけでは無理で、石油と天然ガスも止めないと、冒頭に掲げた目標は物理的に達成できないにもかかわらず、そこも触れていない。もちろんカーボンリサイクル策としてCO2回収設備を付けた火力発電であれば、カーボンニュートラルは可能になるのだろうが、コストの問題が解決しておらず、明言できないことがうかがわれる。 カーボンニュートラルも、環境技術による成長戦略も、基本的にはポジティブに受け止めていい話だと思う。しかし、50年のカーボンニュートラル宣言については、明確なルートマップができているようには聞こえない。 具体的にいえば、石炭は完全撤廃なのか、石油と天然ガスはどう扱うのか。菅首相は、カーボンニュートラルを政策の一丁目一番地と位置づけてはいるが、要するに本質は「50年にカーボンニュートラルにします」と言っているだけで、それについて具体的なプランが無い。そしてそもそも自動車については何も触れていない。小泉環境大臣はどうだろうか? まずは会見の抜き出しから挙げよう。面倒ならまた超訳から読んでも話は分かる。
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