Search This Blog

チョコで作る未来 三豊市に障害者雇用目指す専門店 - 朝日新聞デジタル

 木材に囲まれた温かな雰囲気の店内に、チョコレートの甘い香りが漂う。ここでは、海外から取り寄せたカカオ豆が、1週間以上かけて深い味わいのチョコレートに生まれ変わっている。4月にオープンした、香川県三豊市チョコレートの専門店「RA(ラ)CA(カ)TI(ティ)」。新たな障害者雇用の場を目指し、地元の建材加工会社が立ち上げた。

 ラカティでは、カカオの選別、焙煎(ばいせん)、製造、ラッピングまでを一貫して行う「Bean(ビーン) to(トゥ) Bar(バー)」を実践。扱うカカオは、ガーナインドネシアコロンビア、ベリーズ、ペルーの5産地だ。それぞれ香りを確認し、風味を損なう割れや傷がないか一つ一つ選別して焙煎、粉砕。県産の和三盆糖とともに、専用の機械で3日間練り上げる。カカオの油分でだんだんとつやが出て、なめらかに。チョコレートの温度調整の「テンパリング」後、型に流し込んで板チョコの形になる。

 単一産地のカカオで作ることにこだわることで、各地域の味の違いや特徴を楽しめる。材料はカカオ和三盆糖のみ。和三盆糖のさっぱりした後味が、それぞれのカカオの特徴を引き立てるという。

 ガーナ産のチョコレートを記者も試食してみた。イチジクのような優しい香りとミルクのような甘みが口の中に広がり、思わず笑みがこぼれた。対照的なのはインドネシア産。程よい苦みと酸味があり、いぶったような香りも感じられ、味わい深かった。

 店を立ち上げたのは、100年以上にわたり建材加工業を営む「モクラス」(三豊市詫間町)。代表取締役の矢野太一さん(43)が、「障害のある人もやりがいをもって働ける場所をつくりたい」と思ったことがきっかけだ。

 モクラスでは、以前から障害者を雇用していたが、建材加工の工場は危険がともなうため、携われる工程は少なかった。矢野さんの頭に浮かんだ新規事業が、危険も少なく、作業も細分化できるチョコレート作りだった。

 矢野さんは2019年に出張で訪れた広島県尾道市で、「ビーントゥバー」のチョコレートと出会った。市内にある福祉作業所で障害者らが手作りしていた。「チョコレートなら、障害のある人も自分に合った作業があるはず。お客さんが喜ぶ顔も見てもらえる」。スタッフたちと約1年かけて試作を重ねた。

 完成したチョコレートを食べた時は、衝撃を受けたという。手間を惜しまずに作ったチョコレートは、ひとかけ食べるごとに力がみなぎった。そんな経験から、店名は「力」をローマ字風にした「TICARA」を入れ替え、「RACATI」に。会社の空き倉庫を改装し、イートインスペースにはモクラスの手がけた家具を展示している。

 今の目標は、障害者を雇用するために店を軌道に乗せること。「『詫間町に行くと、おいしいチョコレートが食べられるよ』と言ってもらえるような、町に溶け込む店にしたい。そして、障害のある人も自分の得意なことを生かして働ける場所にしたい」

 ラカティ(香川県三豊市詫間町詫間6781の1)では、the BAR(板チョコ)、テリーヌなどを販売。板チョコは1枚2160円(税込み)から。店のホームページ(https://racati.com/別ウインドウで開きます)でも購入できる。営業は月、金、土日の午前11時~午後6時。問い合わせは(0875・83・6652)。(湯川うらら)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( チョコで作る未来 三豊市に障害者雇用目指す専門店 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/2WnTE4i


Bagikan Berita Ini

0 Response to "チョコで作る未来 三豊市に障害者雇用目指す専門店 - 朝日新聞デジタル"

Post a Comment

Powered by Blogger.